慰謝料を自分で請求するには?弁護士なしで進める手順と注意点【完全ガイド】

「浮気された」「婚約を破棄された」「不当に傷つけられた」──
こうした精神的苦痛を受けたとき、慰謝料を請求するのは当然の権利です。

しかし、「弁護士に頼むと高額になりそう…」
「できることなら自分で対応したい」
と考える方も多いのではないでしょうか?

この記事では、
慰謝料を自分で請求する方法を、実践的かつ法的な観点からわかりやすく解説します。


弁護士を使わずに慰謝料を請求するのは可能?

結論:できます。ただし、条件と注意点があります。

慰謝料の請求は、法律の専門家でなくても、自分自身で行うことが可能です。
実際、内容証明の送付や示談交渉を自力で行い、成功している事例もあります。

ただし、次のようなケースでは弁護士の関与が望ましいです。

  • 請求金額が高額(300万円以上)
  • 相手が全く交渉に応じない
  • 裁判を視野に入れている
  • 相手に代理人(弁護士)がついている

慰謝料を請求できる主なケースとは?

慰謝料は、民法上「不法行為」に基づいて請求される損害賠償の一種です。

以下のようなケースで請求が認められやすくなります:

ケースポイント
不倫(不貞行為)肉体関係がある場合、請求の根拠あり
DV・モラハラ証拠が残っているかがカギ
婚約破棄一方的・合理性のない破棄は違法
誹謗中傷・名誉毀損SNSや掲示板の記録を保存
セクハラ・パワハラ証言や録音が有効

ステップ1:証拠を集める

まずは、請求の根拠となる証拠をしっかり集めることが第一歩です。

有効な証拠の例

  • 不倫:ラブホテルのレシート、LINEやメールのやり取り、写真、探偵の報告書
  • DV・モラハラ:録音データ、診断書、被害日誌
  • 誹謗中傷:SNSのスクリーンショット、投稿のURL、第三者の証言

証拠は後戻りできないプロセスです。後からでは取れない証拠も多いため、慎重に収集を行いましょう。


ステップ2:請求内容を整理する

慰謝料の金額をどう決めるか?

慰謝料の金額には法律上の明確な基準があるわけではありませんが、過去の判例や相場が参考になります。

不倫の例:

状況相場の目安
不貞行為のみ50万~150万円
長期間にわたる関係200万~300万円以上
妊娠中や育児中の不倫増額の傾向あり

高すぎる金額は交渉が難航する原因になるため、現実的な金額を設定しましょう。


ステップ3:内容証明郵便を作成・送付する

内容証明とは?

「相手に慰謝料を請求した」という事実を第三者(郵便局)が証明してくれる文書です。
後の法的手続きで重要な役割を果たします。

内容証明の記載例(不倫慰謝料の場合)

慰謝料請求通知書

○○様(不倫相手の氏名)

あなたは、私の夫○○と肉体関係を持ち、不貞行為に及びました。 このことにより私は深く精神的苦痛を受け、夫婦関係も著しく損なわれました。

つきましては、慰謝料として金100万円を請求いたします。 本書面到達後7日以内に、下記口座へご送金ください。

(振込先の銀行口座情報)

本件に関するやり取りは、今後書面またはメールにてお願いいたします。

令和○年○月○日
あなたの氏名
あなたの住所

送付方法

  • 郵便局の窓口で「内容証明郵便」で送る
  • 書類3通(相手用、控え用、郵便局保管用)を準備

ステップ4:相手との交渉

内容証明を送った後、相手から連絡が来るかどうかで対応が分かれます。

応じてきた場合

  • 金額や支払方法を交渉
  • 「示談書」や「和解書」で合意内容を文書化(できれば公正証書に)

応じない場合

  • 内容証明が未着手で返送された → 再送、または住所調査
  • 無視・拒否 → 簡易裁判所に少額訴訟や通常訴訟の提起を検討

ステップ5:示談書を作成する(合意が成立した場合)

示談書は“慰謝料を払う代わりにこれ以上請求しません”という合意文書です。

示談書に含めるべき要素

  • 当事者の氏名と住所
  • 不貞行為などの事実認定
  • 慰謝料の金額・支払い方法・期限
  • 今後一切の請求を行わない旨の記述(清算条項)

可能であれば公正証書(強制執行可能)にすると、支払いが滞ったときに差し押さえがしやすくなります。


自分で慰謝料請求するメリット・デメリット

メリット

  • 弁護士費用がかからない(10万~30万円程度の節約に)
  • 自分のペースで進められる
  • 小額の請求には十分対応可能

デメリット

  • 相手が交渉に応じないと対応が難しい
  • 書類作成や証拠整理に手間がかかる
  • 精神的なストレスが大きい

よくある質問(FAQ)

Q1. 弁護士に依頼せず、慰謝料だけ請求して離婚しないことは可能?

はい。婚姻を継続しながら慰謝料だけを請求することは可能です。不貞行為の責任を明確にしつつ、関係の再構築も選択できます。

Q2. 内容証明で相手が無視したらどうすればいい?

裁判や調停など、法的手続きを検討しましょう。内容証明は法的効力そのものはないため、無視されるケースも想定しておく必要があります。

Q3. 自分で対応して失敗した場合、後から弁護士に依頼できますか?

できます。証拠や経緯を整理しておけば、途中からでも弁護士が引き継いでくれます。


まとめ:慰謝料請求は自分でもできる。ただし準備と冷静さが鍵

  • 証拠・請求理由・金額設定がすべての土台
  • 内容証明や示談書などの文書作成を正しく行えば、弁護士なしでも請求可能
  • 相手が拒否した場合は、裁判所の力を借りる必要あり
  • 無理はせず、途中で専門家に頼る判断も大切

「泣き寝入りしたくない」あなたにとって、正しい手続きと冷静な行動こそ最大の武器です。
準備と知識があれば、慰謝料は自力でもきちんと勝ち取れます。