配偶者の不倫が発覚し、話し合いの末に慰謝料を払ってもらうことになった──
そんなとき、「口約束だけでは不安」「後から話を蒸し返されたら困る」と思うのは当然です。
不倫問題を円満に、かつ法的に整理するために必要なのが「示談書(和解契約書)」です。
この記事では、
- 不倫示談書の基本的な役割とは?
- 法的に有効な示談書を作るための書き方
- 盛り込むべき項目と作成例
- 公正証書との違いと活用法
- トラブルになりがちな注意点
を徹底解説します。
「不倫示談書」とは?なぜ必要なのか
示談書=トラブルの終結を“書面で証明する”ツール
不倫の慰謝料請求において、話し合いが成立しても口約束だけでは法的拘束力がありません。
そんなとき、当事者同士が合意した内容を文章にまとめた「示談書」が必要になります。
示談書は以下のような役割を果たします:
- 慰謝料の金額・支払方法・期限を明確化
- 「今後一切の請求はしない」といった再発防止条項を明記
- 後日のトラブルや二重請求を防止
感情的に揺れやすい不倫問題こそ、冷静な文書化が重要です。
示談書が使われる主なケース
| ケース | 利用目的 |
|---|---|
| 浮気相手に慰謝料を請求したいとき | 証拠をもとに金銭解決したい |
| 不倫の責任を明確にして関係を終わらせたい | 相手と再接触しないよう誓約させたい |
| 離婚はしないが慰謝料だけ支払ってもらいたい | 婚姻関係を維持しつつ、責任を取らせたい |
不倫の示談書に入れるべき基本項目
以下の項目を入れることで、法的に有効な示談書になります。
① 当事者の氏名・住所
必ず当事者の実名・現住所を記載します。後で身元不明とされないために重要です。
② 不貞行為の事実確認
「配偶者との間に肉体関係を持った」「婚姻中に複数回の密会があった」など、事実関係を明記します。
③ 慰謝料の金額と支払方法
- 金額(例:金100万円)
- 支払方法(一括 or 分割)
- 支払期限(〇年〇月〇日まで)
- 振込先口座情報
④ 今後の関係清算条項
- 今後一切の連絡・接触を行わないこと
- 同様の行為を繰り返さないこと
- 配偶者に対して二度と関係を持たないこと
⑤ 清算条項
「本件に関してこれ以上請求しない」旨の文言を入れることで、追加の慰謝料や訴訟を防止します。
⑥ 日付と署名・捺印
- 記名は必ず自筆で
- 捺印は実印が望ましい(後述の公正証書化では必須)
示談書の記載例(テンプレート)
以下に、不倫相手との示談書のサンプルを掲載します。
示談書
〇〇(以下「甲」という)と、△△(以下「乙」という)は、以下の通り合意した。
第1条(不貞行為の確認)
乙は、甲の配偶者である□□と婚姻期間中に肉体関係を持ち、不貞行為に及んだことを認める。
第2条(慰謝料)
乙は、甲に対し、慰謝料として金100万円を支払う。支払い方法は以下の通りとする。
(1)支払期限:令和○年○月○日まで
(2)支払方法:甲指定の口座に振込むものとする
第3条(接触禁止)
乙は、今後一切、□□および甲に対し接触・連絡を行わないものとする。
第4条(清算条項)
本示談書に基づく慰謝料の支払いをもって、本件に関する甲・乙間の一切の債権債務が解消されたことを確認する。
令和○年○月○日
甲(署名・住所・印)
乙(署名・住所・印)
公正証書との違いは?必要なケースとは
公正証書とは?
公証役場で作成される、強制執行力のある法的文書です。
たとえば慰謝料を分割で支払う場合、公正証書にしておくと支払いが滞った際に裁判なしで給与差し押さえ等が可能になります。
公正証書化がおすすめなケース
- 慰謝料が高額(100万円以上)
- 分割払いにしたい
- 相手に履行能力の不安がある
- 絶対にトラブルを避けたい
※公正証書にするには、本人確認書類・印鑑証明書・実印が必要です。
示談書を作るときの注意点
1. 感情的な表現は避ける
例:「あなたは最低の人間です」「一生許さない」などの表現は避け、事実に基づいた記述のみにしましょう。
2. 相手の合意を得たうえで作成する
示談書は双方の同意に基づく契約書です。一方的に押し付けると無効になります。
3. 証拠を残すため、必ずコピーを保存
- 自筆署名の原本は各自が1通ずつ保管
- 公正証書化した場合は謄本も発行
よくある質問(FAQ)
Q1. 離婚しなくても示談書は作れますか?
はい。離婚せずに、配偶者と浮気相手に慰謝料だけ請求する場合にも有効です。
Q2. 示談書を書いたのに相手が支払わなかった場合は?
口約束の示談書では強制執行できません。公正証書にしておけば、強制執行が可能です。
Q3. 自分で作っても有効ですか?弁護士は必要?
法的な要件を満たせば、自作でも有効な契約書になります。ただし、文面に不安がある場合は弁護士にチェックしてもらうのが安全です。
まとめ:不倫問題は「示談書」で明確に終わらせるのが鉄則
- 示談書は、不倫の責任と慰謝料支払いの合意を明文化する強力な手段
- 内容には「事実確認」「金額」「支払条件」「接触禁止」「清算条項」を必ず盛り込む
- 公正証書にすることで、万一の不履行にも備えられる
- 冷静に、法的に正しく作成することがトラブル回避の鍵
感情のもつれを“言った・言わない”で終わらせない。
人生を前向きに立て直すためにも、しっかりとした示談書を残しておきましょう。





